【宮城】EO North Japan NExT10決勝大会ー詳細レポート

2022.05.05

EO North Japan NExT10決勝大会は、2022年4月15日(金)午後6時から仙台市のenspaceにてEONJ主催 で開催されました。

EO North Japanでは「東北 Innovation Base プログラム」の一環として起業家、起業または準備中の方を対象に「NexT10(ネクスト10) powered by EO North Japan」と題したピッチ大会を東北各県で開催しています。

NEXT10とは震災から10年経った2021年に、2031年の東北を代表する起業家を発掘しようというEO North Japanのチャレンジです。

もともと、震災をきっかけとしてはじまったEO North Japan。多くの起業家がEOの活動を通して成長しました。

これからの10年のために自分がEOで育ったように、これからの起業家を、EONJの起業家で育てたい。その想いからはじまったのがNExT10であり、Tohoku IBです。

2021年10月15日の宮城県予選(プレ大会)時から始まり、11月は福島県、12月は岩手県、1月には山形県、2月に青森県大会3月に秋田県大会を終え、ついに今回の決勝大会となりました。

各大会を勝ち残った東北6県の優勝者たちが、東北No1を決めます。

山形大会の光景は動画でも紹介していますのでよかったらご覧ください。

EONJ代表の齊藤 良太さんの開会の挨拶からイベントのスタートです。司会はコングこと池田さんです。

現在の世の中では、起業後10年で約94%の会社が倒産する、しかしピッチ大会に参加する起業家の85%は生存すると言われている。

自分からネットワークを作る、チャンスを掴みに行くことは、事業の成功につながってきます。

NExT10イベントは、これまで60名以上が参加してきました。今回ついに代表者6名による決勝大会を迎えることができました。

今日もロックなピッチを楽しみにしています。

EO(Entrepreneurs’ Organization=起業家機構)は、1987年に設立された、年商$1MILLIONを越える会社の若手起業家の世界的ネットワークで、現在62か国200チャプター、15,000名のメンバーによって構成されています。

起業家団体であるEOが自分たちの成長の秘訣を地域に還元する目的で始まった「IB活動」は2020年徳島IBを皮切りに全国に広がっています。2021年東北ではすでに立ち上がっている岩手県含め6県でのIB活動を開始します。

東北IBプログラムの活動名としては、これからの10年を創造する「NExT 10」と定めました。

起業家には「尖った感性(ロック)が欠かせない」と我々は考えます。そして、尖った感性は同類が交わることで磨かれることを、2011年の震災直後から全国のEOメンバーに私たちは教わってきました。

これからの10年地域との連携を強化し、共に創造していきたいと考えています。

それではピッチイベントスタートです。

1. 石田 陽佑 株式会社TOMUSHI <秋田県代表>

石田 陽佑 株式会社TOMUSHI <秋田県代表>

トップバッターは、秋田県代表、株式会社TOMUSHIの石田さんです。

双子の兄とともに渋谷で起業しますが、わずか半年で失敗。

そんな時、祖母からの電話で祖父の病状の悪化で秋田に帰省。

21歳の双子ニートとなり、暇になってカブトムシを取りに行くも失敗。

祖母にお願いしてお金を借り、カブトムシを買い育てて、ようやくカブトムシ屋さんをオープンしたと波瀾万丈な生活を送っていたそうです。

そんなカブトムシ屋さんも、得意だったウェブの知識をいかして繁盛し順調に拡大。

カブトムシ餌代が高く資金繰りが苦しくなるも、大量に余るゴミなどを餌にできないかと考え研究と実験を繰り返し見事餌代がタダに。メディアなどにも注目されるようになりました。

ただ周りの一部からは「カブトムシを育てることになんの意味があるの?どんな社会の役に立つの?」という声もあったそうです。
しかしそんな声を聞き考えてみると、ゴミを食べるカブトムシがすごい!という事に気づいたそうです。
研究開発を進めているうちに、さまざまなゴミを食べるスーパーカブトムシの開発に成功していたそうです。
イベントでは7万人以上に評価されたそうです。

そんな中、資源問題の中でのタンパク質不足にも着目。2050年には今の2倍のタンパク質が必要と言われています。
牛の3倍以上のタンパク質量、必要な餌は牛の10分の1以下の、水の必要量、温室効果ガスの発生も少ない。
双子の兄弟で「カブトムシと共に世界を救う」と誓ったそうです。

昆虫食として今話題のコオロギと比べても、適正温度が低く、量産コストも安いそうです。

今後は、生産量の拡大、機能性や成分を活かし研究開発を進め、化粧品、サプリなどさまざまな活用を考え、これらのために国立大学との研究もスタートしたそうです。
「使えば使うほど、食べれば食べるほど、ゴミを減らすサステナブルな商品」
「日本発祥の文化、昆虫飼育から生まれた技術は世界へと羽ばたきます。ユーグレナの次はカブトムシです!」そう石田さんは締めました。

コンビニでのカブトムシ関連商品の開発も進んでいるそうです。

「昆虫の力でゴミを資源化し、世界の食糧不足を解消する」と石田さんは締めました。

2. 新川 晋悟A-frame Japan株式会社<山形県代表>

新川 晋悟A-frame Japan株式会社<山形県代表>

「A-frameで世界中の絶景を切り取り、かけがえの無い風景を後世に残す」と始めるのは、A-frame Japanの新川さんです。

合掌作りの作り方を応用すれば、三角形の大きな窓の建物を一人で作れるのでは?と思い、最高に景色の良い場所に自分の手で家を建てたいと考えスタートさせたといいます。

日本には実例は多くなかったため、世界中のA-frameを学ぶため、会社を辞め、夫婦で世界一周の旅をされたそうです。

その後、日本に帰国し、1年かけてA-frameの建物を完成させ、現在はA-frame専門の設計事務所となっています。

A-frameの特長は4点あり、「全面大きく開けられる」「自然に馴染む」「風や雪など構造の安定性が高い」「建物の建築が容易である」だといいます。

日本全国の景色の良い場所に、建築を進め、景色が楽しめる宿泊施設等を作っていくそうです。

また今後も、世界中のA Frameに訪問して情報を集め、自分達の実績も共に、世界のA-frame情報を集め発信。

「私たちは、A Frameで世界中の絶景を切り取り、後世に残します。」と締めました。

3. 重野 由佳 appcycle株式会社<青森県代表

重野 由佳 appcycle株式会社<青森県代表

三番目はシンガポールから参加されている、重野さんです。

「青森から世界に出ていくスタートアップを作り、りんごレザーで青森りんごを世界一にする!」「日本だけでは狭すぎる!世界を舞台に挑戦したい!」と訴えます。

重野さんは、オーストラリアでネイルアーティストとして活動されていたそうです。そして2年後には日本人初のチャンピオンとなったそうです。

その後、大阪でスイーツブランドを起業、インスタなどSNSも駆使して成功されました。
成功を元にオーストラリアに出店するも、コロナ禍の影響で閉店することとなってしまい人生のどん底を経験したといいます。

その後ヘッドハンティングされIT業界へ、実力のある人たちとパラレルワークする中で、
「どこの国でも、どんな人種の人とでもビジネスを立ち上げられる」と思ったそうです。

そして「どこに住んでいても私は日本人だし、地元の青森を愛している」ということに気づいたそうです。
「青森といえばりんごです。そのりんごを食べ物としてもビーガンレザーとしても世界一にする」と訴えます。

りんごのビーガンレザー事業、農家支援事業、新しい働き方を提案するとのことです。
りんごのレザーは、本革よりも、水の使用量、CO2の排出量などが少なく、環境によいレザーだそうです。

現在、日本の大学等での研究開発も進んでおり、取引先も繊維メーカー等多数との取引が進んでいるとの事。

自分が日本にいなくても事業はどんどん進められる。青森、東京、シンガポール等の地域や国を跨いで活動します。

「日本初りんごレザーを爆速で発展させ、青森りんごを世界一にします!」

「青森のことは私に任せてください!」と締めました。

4. 大川 翔 SFF|福島人が営む集会所<福島県代表>

大川 翔 SFF|福島人が営む集会所<福島県代表>

「本日はビジネスプランを話すつもりはないです!私のパッションを伝えにきました!」と驚きの発言から始まるのは、福島を変革する男、大川さんです。

大川さんが学生時代、県外に出て福島の事を話すと、マイナスなイメージが非常に多かったといいます。

そんな福島のマイナスをプラスに変えようと思い、活動を始めたといいます。

成人式で地元に帰った際、地元の友人にも「福島には何もない」と言われてしまいました。

しかし福島には魅力がある、可能性があると信じているといいます。

実際に福島にはさまざまな課題が多い、しかし課題が多いからこそ可能性があるのだと訴えます。

今後の福島の将来を考えた際、地方には若者が必要であると考え、大学4年生の時から、SFF という団体を立ち上げ、高校生・大学生での500人以上のネットワークを伝え、プロジェクトの創出、福島の魅力を伝えるエバンジェリスト事業、コミュニティ運営、人材育成の教育プログラムを立ち上げているといいます。

これからの福島のイメージは若者が作っていくと訴えいます。

そこで今進めているのが、Fukushimafrogsです。コンセプトは、「This is me =僕らしく、私らしく」

frogs は沖縄で13年の実績があるものを横展開するといいます。

現在もクラウドファンディング等で活動をしているがなかなか厳しい状況です。

しかし若者が立ち上がることが福島に必要だと訴えます。

若者が新たな挑戦、チャレンジしていくこと。そしてそこで育った人が新たな若者の挑戦を応援できること、それを実施することが目標だといいます。

「起業家ではない自分は、福島を変革する男として活動を続けたい」と締めました。

5. 藤波 純 THECLO<宮城県代表>

藤波 純 THECLO<宮城県代表>

続いての登壇者は、共有クローゼットを運営するTHECLOの藤波さんです。

10月の予選の際にはまだ個人事業主でしたが、現在は法人化されたそうです。

藤波さんが手がけるのは、ユーザー同士がリアルな店舗で服を貸し借りできる、定額制の共有クローゼットサービスです。

このサービスを1年間営業し続けてきたそうです。

それは「服から人をつなげるサービスを作りたかった。どうしても作りたかった」そう訴えます。

楽しんでる人を見続けていると「これは辞めずにはいられない」と感じたそうです。

ユーザーから「好きな人から服を借りれる・居心地がいい・新しい価値観を知れる」などと評判も良く、現在は定額ユーザーが50名を突破したといいます。

また進める事業の一つが「服の交換会」というイベントの実施です。

服を1枚持ってきたら1枚持ってきていいというそうです。

700名の来場、3300着の服の交換が実施されました。これは約1万トンの水の削減に繋がっているのだといいます。

作りたい世界は、「贈ったものがち、やったものがち社会を作りたい」

自分のサービスは「服を楽しみ、人と繋がり、心を育むサービス」だといいます。

「服を着るだけなんて勿体無い、服だからこそできることがある」と訴えます。

現在は、服育事業・中高生への服育・オンラインレンタル・インフルエンサー支援も手がけているそうです。

「仲間や協力者を探しています。応援して欲しいです。助けてください!」と締めました。

6. 福嶋 圭次郎 KGR Harmony<岩手県代表

福嶋 圭次郎 KGR Harmony<岩手県代表

南部鉄器エフェクター

エフェクターとは、音色を変化させるもの

アーティストが曲を彩るために必要なものだといいます。

エフェクターは、衝撃を守るために金属製の箱で加工必要がある。

福嶋さんはエフェクターを10年以上作ってきた音作りオタク、外装の材料で音色が変わる事に気づき、南部鉄器と出会ったそうです。

横浜での仕事を辞め、174年の老舗メーカーにて修行し、南部鉄器でエフェクターを作る事業をスタートさせたそうです。

2020年1月、世界初の南部鉄器エフェクター「あられ」が完成したそうです。

現在5種類を作っており今後も新たな製品を開発、日本の色を取り入れたモデルを作っていくそうです。

国内の楽器屋さんをはじめ海外にも展開、アメリカ・シアトル・台湾・上海など8カ国以上に実績があるそうです。

全く関係ない、南部鉄器という伝統工芸と別のジャンルのものの融合によって、南部鉄器のことを新しい人に知ってもらえた、また南部鉄器の伝統工芸の新しい可能性を発見した

「音楽に国境はありません!南部鉄器エフェクターで、世界中の音楽ファンを沸かせます!」と締めました。

審査結果

そして今回のNExT10、優勝者の発表となります。

最優秀賞 KGR Harmony 福嶋 圭次郎さん

優勝はKGR Harmony 福嶋 圭次郎さん

優勝者福嶋さんの言葉

「岩手での優勝が決まった後、他の候補者を見て落ち込んだこともあったが、ピッチを準備することで、さまざまな思いがより高まった。
最後は全力で楽しもうと思い頑張れました。ありがとうございました。」

閉会の挨拶

NExT10最後には、GC Story代表の西坂さんより閉会の挨拶です。

当初IBを始める時、東北にはそんな人いないのでは?と言われることもあったが、まずはやってみようと、なんとか始めることができた。

そして、今回集まった人も含めて、東北には多くの希望があった。

東京や大阪など遠方からも手伝ってくれた多くの仲間たちにも感謝している。

来年以降も繋ぎ、東北の未来を一緒に作っていきましょう!

NExT10のチャレンジはこれから始まります!

今後の活動にもご期待ください。

© ENTREPRENEURS' ORGANIZATION NORTH JAPAN